北原の出会いと感謝の経営術

釣り方を教えず、魚を与える

魚を与えるのではなく釣り方を教えよ。
という格言があります。

飢えている人がいるときに、魚を与えるか、釣り方を教えるか。
という教育の問題。

格言の意味としては、人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、釣り方を教えれば一生食べていける。

一見良い考え方のように聞こえますが、組織を運営する身としては、一考の余地があると思います。
原理原則で考えると組織を崩しかねないからです。

教育や組織の在り方を再考するためにも、ひとつの考え方として聞いてみてください。

釣り方を知った人から去っていく

結論からになりますが、釣り方を知ったら独立します。

自分で集客して売上の再現性が作れるようになると、会社に所属しているメリットが薄れていきます。
自分でやったほうがリスクはありますが、手残りは確実に増えますからね。

優秀(釣れる人)な人ほど独立しますし、自分の力を試したくなるものです。
自然な流れですね。

釣り方を教えるというのは、独立推進しているのと同じです。
自分で出来るようになれよ、と背中を押しているわけですからね。

中には釣り方を教えておいて、独立してしまった、裏切られた、と言う方がいます。
原理原則を無視した行動をしてしまうと、知らないうちに自分の首を締めているなんてことになりかねません。

僕がスタッフにSNSやブログなど、集客に関することを教えない理由のひとつです。

飢えている人に魚を釣る体力はない

そもそもその人は教わりたいのか?教わる姿勢なのか?
飢えて疲弊している人に「釣り方を覚えろ!」というのは酷なものです。

それに釣った魚を提供することで、その人が幸せになれるのでしたら、釣り方まで教えなくてもいいと思っています。
会社でそこまでやるべきなのか?それ以上を望んでいないのに?

釣り方を教わりに来た人なのか。
魚をもらいに来た人なのか。

目の前の人はどんな人か?ということを想定しないといけません。

弊社で働く社員たちは、みんな素晴らしい数字を出します。
本当にいい子たちで、ほとんど問題を起こしません。

でも、出会ったときには、仕事に疲れてしまっている子ばかりでした。
そんな子に、トレーニングを強いてもついてこれないんですよね。
心が折れてしまっている。

だからまずは与えることによって、生活や心を安定させることを優先しました。

都合が良いのは魚を受け取ってくれる人

言い換えれば自社で用意した環境に満足してくれる人ですね。

もっとでかい魚を、もっと美味い魚を、そうやって向上心のある人は会社から飛び出していきます。
都合が良いというと悪く聞こえるかも知れませんが、都合が良い人が集まらないと会社は存続しません。

もちろん相手にとっても都合が良い会社なんです。
お互い都合が良いから、成り立ちます。

良し悪しでも優劣でもなく、提供しているもので満足してもらえなければ、いずれは離れてしまいます。
与えた魚を美味しいと受け取ってくれる人がいれば、良い関係を築けます。

会社として行うのは、釣り方を教えるのではなく、より多くより美味しい魚を採って提供すること。
それが従業員に対して会社が行う努力だと思っていますし、長く働いてもらうため、必要なことだと思います。

大事なのは会社と社員の方向性

魚釣りで例えてきてしまいましたが、大事なのは双方の方向性の一致です。

昔の職場で管理職をさせてもらっていた時、全員を売れるスタイリストに育てないといけない、と思い込んでいました。
「そうじゃないと幸せになれない」みたいな意味が分からない固定概念に縛られていました。

皆がみんな売れたいわけではないし、たくさん稼ぎたいわけでもない。
バランスよく働いて、仕事はほどほどにプライベートを優先したい。
そういう子もいるんですよね。

大事なのは会社と社員の方向性が合っていて、お客様が喜び、業績が伸び、社員を守る力が会社についていくことかなと。

本人の在り方は会社の方向性に沿ってさえいれば、周りがあれこれ言う必要がないということですね。

個人的にはこんな感じのほうが、相手の価値観や在り方を変えようとすることなく、居場所を提供することができるのでしっくりきますね。
関わる人が喜んでくだされば、それが正解と定義することもできます。

なんでもかんでも教えることが正解ではないのでは?というお話でした。

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