北原の出会いと感謝の経営術

店舗拡大のための準備と思考

ディアーズの1号店がオープンしたのが2015年5月。
最初の1〜2年こそ1店舗のままでしたが、その後急拡大して今では全国に店舗を構えています。

この急拡大は、ただなんとなくの勢いではなく、
緻密に計算して慎重に広げていった結果です。

今日はこの急拡大の裏側にあるロジック。
拡大の為の準備期間と考え方についてお話ししようと思います。

美容室を広げるタイミング
言語化するまで拡大してはいけない

店舗を勢いに任せて闇雲に拡大すると、まず破綻します。
破綻の原因は需給の読み間違いからくる過剰出店や、離職率高止まりによる組織崩壊などさまざまです。

ディアーズのように急拡大しても全店黒字、安定成長を続けられる理由は、
拡大のタイミングを見誤らなかったからです。

そのタイミングとは、

「ビジネスモデルが言語化できた時」

になります。

僕はことあるごとに「言語化しよう」と言い続けています。

  • なぜ自分の美容室が繁盛しているのか
  • どのルートから集客しているのか
  • なぜお客様は自社を選んでくれるのか
  • なぜ社員は自社の求人に応募してくれるのか
  • なぜ社員が離職しないのか

などなど。

自分の美容室が成り立ち、成長している要因を言語化する。
これをやる前に拡大路線に舵を切ると、どんなに素晴らしいビジネスも普通に壊れていきます。

なぜそのようなことになってしまうのでしょうか。
その理由はたくさんありますが、もっともイメージしやすいものが下記の2つだと思います。

理由1:どこまで拡大していいかわからないから

まず1つが「どこまで拡大しても良いのか?安心なのか?継続的な事業として運営ができるのか?」というのが分からなくなるからです。

どんなビジネスでも、臨界点を超えた瞬間に、崩れやすくなったり、伸びない店舗が生まれたりします。

  • どこまでアクセルを踏み込んでいいか?
  • どこでブレーキを踏むのか?
  • どこで撤退するのか?

この3つが分かり使いこなせなければいけません。

体育会系なスタイルでしたら、アクセル全開、猪突猛進でもいいでしょう。
ただそれだと、「ブレーキ」や「撤退」という選択がないため、事故(撤退・離職・離脱)るまで、アクセルを踏むしかできません。

ビジネスの世界では、アクセルの踏み方を知って三流、
アクセルを目一杯踏めて二流、適切なブレーキングで安全に目的地にたどり着けて一流だと、僕は思っています。

なので自分が扱っているビジネスが潜在的にどのラインまで踏み込めるものなのか。
明確な根拠を持って言語化しておく必要があるのです。

理由2:ふわふわした状態の上に事業を積んでいくから

言語化が不十分だと、トップの人間ですらなんでうまく言ってるか説明できません。

そうなると、成長に再現性がなくなりどこかで伸び悩みます。

「この前までうまくいったのに、なんで通用しないんだろう?」と、非常にふわふわっとした状態。

社内に売れる社員がいても、「なぜこの社員が売れたのかわからない」ので、第2第3の人気社員を作ることができません。
会社のサポートというより、売れる社員だった(元々の姿勢や熱量の違い)という事だけというケースがとても多いですね。

これだと、経営者の目が行き渡る規模感までは成長できるのですが、
事業が手離れしないため、美容室であればせいぜい2〜3店舗で手詰まります。

そういう北原はどんな言語化をしてんだい?
ディアーズの言語化の事例

では、僕はディアーズをスケールさせるにあたりどのような言語化をしたのか。
言語化の一例としてご紹介したいと思います。

「逆張りで入社したスタッフが1ヵ月~3ヵ月以内にDearsのマニュアルを学び入客スタート。

お客様の90%~100%が次回予約を入れて新規80~90%・既存90%~100%でリピートしてくださり、
1人当たり23万~25万のお金を生涯でDearsにつかってくださる。

スタッフは逆張りで採用しているので離職せず時間とともにお客様と美容師で席がうまりお客様で溢れる。

1席当たり6ヶ月~8ヶ月で80万~120万の生産をして、
1店舗3席~5席でオープンするので2年~3年前後で売り上げ席数×80万~120万の生産と35%の利益(月)を取れるようになる。」

と、こんな感じです。
もちろん、もっと細かな部分も言語化していますが、ビジネスの根幹の部分は上記で網羅できています。

言語化できないビジネスモデルはスケールできない

僕の経験上、仮説検証を繰り返し、十分な信憑性を持って言語化できたものしかスケールしません。

なぜなら、ビジネスというのは常に大きな外部変化にさらされており、
予想外の出来事に迅速に対処しながら、限界ギリギリまでアクセルを踏み込んでいくからです。

この外部変化には、強い競合他社の出現だけでなく、天変地異・天災も含まれています。

ビジネスの言語化とは、自社のビジネスモデルを深く理解する取り組み、とも言い換えられます。

車屋さんが故障車をパパッと修理できるのは、車の構造を深く理解しているからです。
それと同様に、経営者がビジネスの問題点をスピーディーに解決できるのは、
自分がやっているビジネスモデルを、細部にわたり、原理原則のレベルまで深く理解しているからです。

殆どの経営者は、多店舗展開を試みるもせいぜい3店舗程度で足止めを食らいます。
それは単に自分が何をやっているのかわかっていない、ビジネスモデルへの理解不足が原因です。

自分が何をやっていて、目の前で何が起こっているかわからないから、何の対処もできず同じ場所に何年も居座る。

進めていける人の特徴は、

「数え切れないほどの仮説検証を経て、言語化できるレベルまで自社事業を熟知している」

というところかなと。

「経営ってこうしたらこうなるよね」という事が感覚としてわかる方。

ここを肌感からでも感じ取れるようにならないと、目標とする規模までスケールできません。

「いつかは店舗展開できる」「いつか花が咲くだろう」という願望は、だいたい夢で終わります。

経営は再現性の積み重ねですから、しっかり言語化し、何を再現しようとしているのか知っていないといけません。

ビジネスは博打ではありませんからね。
ビギナーズラックではなく、成長要因を1つ1つを再現できる力を身につけた人から順に、次のステージに駒を進めるのかなと。

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